通勤84分を「読書時間」に変えた話——TTS読み上げ×電車の具体的なやり方

片道42分、往復84分。年間350時間。これを「何もしない時間」にしていた。

京王線の調布から新宿まで、特急で18分。新宿から丸ノ内線に乗り換えて赤坂見附まで24分。合計42分。混んでいる。スマホは片手で持てるけど、本を広げるスペースはない。Kindleアプリで読もうとしたこともある。3日で諦めた。小さい画面で文字を追うのが疲れる。立っている日は特にきつい。

Podcastを聴いていた時期がある。半年くらい続いた。でもPodcastって、自分が読みたいものを選べない。面白い回もあるけど、興味のないゲスト回とか、前半10分が雑談の回とか。結局、Podcastを選ぶ時間が増えて、それもストレスになった。

欲しかったのは「自分が読みたい記事を、耳で消化する方法」。Pocketに保存した記事、はてブでストックした長文、Qiitaでいいねした技術記事。これを通勤中に聴ければ最高なんだけど、と思いながら1年が過ぎた。

CastReaderを試したのは2026年1月の寒い朝だった。Chrome拡張機能。無料。インストールして、はてなブログの長文エントリを開いて、アイコンをクリック。

3秒後に読み上げが始まった。

最初の感想は「あ、ちゃんと本文だけ読むんだ」。はてなブログってサイドバーにプロフィールとか最新記事一覧とか載ってるけど、それは読まない。記事の本文だけ。当たり前のように聞こえるかもしれないけど、前に試した別のTTSツールは、ページ全体を上から順に読み上げて、「ホーム ブログ プロフィール お問い合わせ」みたいなナビゲーションリンクから始まった。話にならなかった。

翌朝から通勤で本格的に使い始めて、3ヶ月経った。今のルーティンはこう。

朝、家を出る前に「今日通勤で聴くもの」をChromeで開いておく。だいたい2〜3記事。はてブのホッテントリから1本、Qiitaのトレンドから1本、前日にTwitterで見かけた記事を1本。タブで開くだけ。電車に乗ったら、最初のタブを開いてCastReaderをタップ。イヤホンから読み上げが始まる。

片道42分で記事2本は聴ける。長い記事(8000字クラス)なら1本と少し。帰りの電車でもう2本。1日4本。週20本。月80本。

年間で考えると、通勤だけで960本の記事を消化できる計算になる。去年はその時間、ぼんやりTwitterを眺めていた。

速度は1.2倍にしている。初日は1.0倍で聴いたけど、3日目くらいで少し遅く感じ始めて、0.1ずつ上げていった。1.5倍でも聴き取れるけど、疲れる。1.2倍がちょうどいい。人による。

技術記事でコードブロックがあると、CastReaderはスキップする。これが地味にありがたい。Qiitaの記事でconst express = require('express')とか読まれても意味がない。解説テキストだけ読み上げて、コードは後でPCで見る、というワークフローが自然にできる。

NHKのニュース記事も聴く。朝、支度しながらNHK NEWS WEBを開いてCastReaderをタップ。歯磨きしながらニュースが耳に入る。テレビをつける必要がない。3本くらい聴けば朝のニュースチェックは完了。

一番驚いたのは、Kindle Cloud Readerでも使えること。Kindle本をブラウザで開いてCastReaderを使うと、OCRでページ画像からテキストを読み取って読み上げる。通勤で本が聴ける。Audible要らない。これは別の記事で書いた。

3ヶ月で確実に変わったことがある。Pocketの未読リストが300件から90件まで減った。技術ブログのRSSフィードを読む余裕ができて、チームの技術選定の議論でちゃんと意見が言えるようになった。これは通勤時間が変わったからじゃなくて、通勤時間の使い方が変わったから。

正直なところ、AI音声はプロのナレーターとは違う。Audibleの朗読や、NHKアナウンサーの読みと比べたら差はある。でも記事を「耳で消化する」用途には十分。抑揚があって、句読点で適度に間が入る。長時間聴いても不快にならない。それで十分。

CastReaderはChromeウェブストアからインストール。無料。アカウント不要。今日の帰りの電車から使える。明日の通勤から84分の読書時間が手に入る。

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